変動する中国の規制リスク

変動する中国の規制リスク


Author: 菊池朋之(Tomoyuki Kikuchi)

中国政府は、各産業分野に対する安全基準や環境基準等の整備促進、GB(国家标准)規格を中心とする製品の標準化強化や国際基準の導入などを進めており、中国で事業活動を行っていくには、変動する制度化プロセスに則した対応が必須です。また、情報セキュリティ分野においても、データ三法(個人情報保護法、サイバーセキュリティ法、データセキュリティ法)による規制体制が整備され、中国国内で収集した個人情報や各種重要データの国外移転、利活用が厳しく制限されています。中国国内で活動する外国企業関係者は、中国国内法を遵守するコンプライアンスの周知徹底が、一層強く求められています。

このような中国における規制強化は、習近平政権が成立した2010年代前半に示された、総体国家安全観に基づく中国の安全保障政策の見直しが重要な契機となっています。総体国家安全観は政治、国土、軍事、経済、文化、社会、科学技術、情報、生態、資源、核・原子力など、伝統的な安全保障領域と非伝統的安全保障領域を一体として取り扱っています。この総体国家安全観の下で、習近平政権の中国共産党と中華人民共和国の安全、社会的安定、人民の安寧を確保するため、各領域において安全確保に向けた方針や政策を推進しています。そして2021年の第 14 次 5 か年計画(2021~2025年)においては、経済高度化に向けた施策として、2025年までに国家規格体系を完成させ、国内の製品・サービス・プロセスに対して国家標準の適用と保証をすることを目標として掲げています。規制強化と標準化の促進は、いずれも中国当局による包括的な国内統制の強化と、社会システムの一体的近代化という方針に基づいています。また、伝統的な安全保障領域においても、人民解放軍の近代化の加速、反スパイ法の改正といった統制強化、先端軍事技術開発の促進等が進められており、これらの要素から中国における事業活動に影響を及ぼし得る規制上のリスクが生じています。

中国における近年の各種規制の見直し・強化、新標準や規格の導入といった変動する規制リスクに対して、中国国内で活動する企業は柔軟に対応をしていく必要があります。自社の製品・サービスに適用される可能性のある規格導入の動向や、中国当局による適用事例を注視し、中国国内規制へのコンプライアンスを徹底しなければ、中国における競争優位性の低下、行政処分、レピュテーションの悪化、関係者の安全といったリスクの蓋然性の高まりに直面することになります。

コントロール・リスクスは、中国および日本を含む世界34拠点、3,000人以上の専門家が協働し、お客様の支援を行っています。政治・行政、地政学、経済学領域に関しては、世界中に200人以上の専門家を有しており、世界トップクラスを誇る、包括的な政治・マクロ経済分析・予測・コンサルティング、各国の規制・政策動向やリスクの分析、お客様の状況に応じたリスク対応などの支援を提供しています。中国における規制リスク対応など、ご相談がございましたら下記フォームよりお問い合わせください。

 

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