【本記事のサマリ】
- 多国籍企業は、保有するブランド、知的財産の競争優位性をいかに維持するかという課題に、引き続き直面している。
- 各国において知的財産保護の法整備が進んでいるものの、模倣品・偽造品問題の根本的な解決には至っていない。
- ブランド・知的財産保護戦略の確立には、サプライチェーン上のデータ分析と事実に基づくインテリジェンス主導の360度対応が求められる。
模倣品、偽造品、並行輸入品を含めた市場における不正行為は、様々な国において、長年にわたり多国籍企業が頭を悩まされてきた問題でした。パンデミックにより経済が減速する中、多国籍企業は成長を推進しながら、保有するブランド・知的財産の競争優位性をいかに維持するかという課題に直面しています。模様品・偽造品の流通によって企業が被る経済的損失や風評は、近年重大な経営課題の1つです。
このような問題に取り組む為に、多くの企業は各国における法制度を頼りにしてきました。実際に、中国の知的財産権(IPR)法は、ブランドの正当な利益を保護するために何度も改正されています。しかし、法制度が充実しているだけでは十分とは言えず、解決されていない訴訟や問題が多く存在します。デジタル時代における模倣品・偽造品の市場は、以下のような問題を含んでいます。
- 模様品や偽造品の運用はますます巧妙になり、食品、衣料、産業機器などのあらゆる分野に広がっている。
- 問題のある製品の供給元を発見したとしても、関連する犯行グループを通じて、他に多くの供給元が増殖していく可能性が高い。
- デジタル時代には、オンラインの販売チャネルが広く普及しているため、知的財産の侵害規模を把握することが困難になっている。
- 偽造品、模造品流通には内部関係者が加担していることがある。内部関係者はノウハウや生産方法、流通経路などの知識を有しており、それらを外部関係者と共有することで、不正な利益を得ることもある。
コントロール・リスクスの調査によれば、中国が世界の模倣品の主要な供給源(世界の模倣品全体の約80%)であり、アジアのみならず他の地域にも影響を及ぼしています。これらの課題に対応するためには、もはや企業内部のチェックリストに基づく対応では十分ではなく、内部と外部を合わせた360度調査に焦点を当て、常に変化する市場環境に合わせて対応策を強化していく必要があります。
このような背景の中、コントロール・リスクスでは、下記の偽造品・模倣品問題の解決にむけたインテリジェンス主導のアプローチで企業をご支援しています。
偽造品・模倣品問題の解決にむけたインテリジェンス主導のアプローチ
- データ分析によるリスクの高い第三者の特定:
レッドフラッグ分析、統計的モデリング、機械学習に基づく人工知能(AI)による分析を行い、不正行為を行っている可能性のある第三者を特定します。
<データ分析資料の一例>
- 犯行グループに関する情報収集:
各地における模倣品の市場や模倣品に関わる主要なグループのプロファイル、活動規模などを調査・分析します。これらの調査は公開情報に留まらず、各地において模倣品・偽造品の流通に精通している人的情報ソースへの聞き取り調査を含めて実施します。
- サプライチェーン上の不正リスクの分析:
特にオンライン取引は模様品の流通において重要な役割を果たすことが多い為、さまざまなオンラインチャネルから得られるデータを分析し、サプライチェーン全体に潜む不正リスクの実態を調査・分析します。
<サプライチェーンにおけるデータ分析の一例>
- 内部統制の強化 :
同様の問題が再発しないように内部統制に関する評価を実施することも重要です。従業員が模倣品・偽造品製造に関与していたことが判明した場合、内部調査を行うとともに、より強固な不正防止プログラムの導入を検討する必要があります。それには、管理職採用時の背景調査や、従業員への継続的なコンプライアンス研修による企業風土の改善が含まれます。
これらの手順を整備することで、多国籍企業はブランド・知的財産保護戦略を確立でき、事後調査や対応措置に関するコストを最小限に抑えることができます。行動を起こす前に、データと事実に基づいた情報収集・分析を行うことで、不正行為の原因に対処し、知的財産の競争優位性を維持することが重要です。
コントロール・リスクスでは、偽造品・模倣品問題の解決や不正行為への対応などに対し、インテリジェンス活用して多くの多国籍企業をご支援しています。詳細情報や具体的なご相談などございましたら、是非下記お問い合わせフォームよりご連絡ください。