中台関係の地政学的情勢とリスクマネジメント

中台関係の地政学的情勢とリスクマネジメント



【本記事のサマリ】

  • 台湾とその周辺海域は、世界経済や企業にとって重要な役割を持ち、台湾をめぐる地政学的環境はほぼすべての企業に影響を及ぼすことが想定される。
  • 今後もアジア太平洋地域における米中間のプレゼンスを巡る対立は継続することが見込まれる中、台湾は重要な地政学的環境にある。
  • 台湾海峡情勢という地政学的リスクについて適切なリスクマネジメントを行うには、適切な情報収集に基づく意思決定が重要。

 

対立の背景

台湾とその周辺海域は、日本を含む世界経済や企業の事業活動にとって重要な役割を有しています。例えば、台湾系の半導体ファウンドリ企業の世界シェアは60%超(台湾外での生産量を含む)であり、世界経済において重要な産業集積地です。さらに、中国および台湾との直接の経済的関係だけでなく、台湾周辺海域(台湾海峡およびバシー海峡)は重要な輸出入ルートであり、日本や韓国にとってのチョークポイント(戦略的に重要な海峡や水路)であるといえます。従って、直接的・間接的を問わず、台湾をめぐる地政学的環境はほぼすべての企業に影響を及ぼすことが想定されます。

国共内戦以降、台湾と中国本土は実質的には異なる体制の施政下にあり、軍事的緊張が繰り返されてきました。台湾の蔡英文総統は、「実質的独立状態の維持」を対中政策の方針としています。中国共産党政権は、統一に対して否定的な蔡英文―民進党政権の対中政策への批判を繰り返しており、中台統一の政策を推進しています(参考記事:第20回中国共産党党大会を読み解く:習近平氏の権力強化と台湾への強硬化リスク)。1995~96年に発生した台湾海峡危機は、1996年の初の台湾総統直接選挙と李登輝・元総統の訪米に対する軍事的圧力として実施され、台湾の政権とその政策方針は台湾を巡る地政学的環境における、重要なリスクドライバーとなってきました。

そして、米中間では軍事・政治・経済・技術等の多くの分野で両国間の競争が激化しており、今後もアジア太平洋地域における米中間のプレゼンスを巡る対立は継続することが見込まれます。その中でも台湾は、日本・韓国・フィリピンという米国の同盟ラインの中間で、中国が外洋進出を進めるためにも重要な地政学的環境にあり、アジア太平洋地域における米中間のプレゼンスを巡る競争の最前線となっています。

企業に求められる対応

「台湾海峡情勢」という地政学的リスクに対して適切なリスクマネジメントを行うには、適切な情報収集に基づく意思決定が求められます。その際には、下記ポイントに留意が必要です。

  • 各有識者のバイアス・価値観などが含まれやすいため、情報の収集・分析の際には留意する。
  • 関係国(台湾・中国・米国・日本など)の政策・動向といったリスクドライバーの変動と、その関係を含めた地政学的動向を適時把握する。
  • 情勢を定点的にモニタリングし、中長期を含む変化を捉える。

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